瑕疵担保責任

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瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは、売買契約に基づき不動産の売主が買主に対して引き渡した物件に、引き渡し時には分からなかった「瑕疵(欠陥や不具合)」が発覚した場合、売主がその責任を負うことを意味します。

つまり、「販売した不動産に何らかの不備が確認されたなら、売主側は必ずその責任を負う義務(法定責任)がある」ということです。

住宅における瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)

家など不動産を購入する際、買主側がいくら購入前に注意して建物を確認したとしても、表面化していない問題、容易に気付く事ができない瑕疵まですべて見付けることは困難です。

これを、『隠れた瑕疵(かし)』と言います。

外見では分からない瑕疵(かし)があった場合、このままでは何も落ち度がない買主が損失を被ることになってしまいます。

そのため、購入後(引き渡し後)に実際に住み始めてから万が一隠れた瑕疵(欠陥や不具合)が見つかった場合には、売主が責任を持って「建物の修復・補修」や「損害賠償に応じる」、さらに住むのが難しいような甚大な瑕疵が判明した場合は「契約の解除の受け入れ」をしなければならないと民法にて定められています。

買主にとって「売主に課せられる疵担保責任」は、安心して不動産を購入するために必要なものと言えます。

対象となる瑕疵(かし)

瑕疵(かし)とは、本来であれば有しているはずの機能・品質・性能・状態が備わっていない、いわゆる欠陥や不備があることを言います。

具体的には、下記のような欠陥や不備であれば、売主が責任を負う瑕疵(かし)となります。

  • 雨漏り
  • シロアリ
  • 配管漏れ
  • 躯体(構造体)の欠陥・腐食・傾き
  • 土地の問題(軟弱地盤・土壌汚染・埋設廃棄物)

民法では、売主に課せられる瑕疵担保責任の期間について、購入から失効までの10年間と、瑕疵が発覚してから1年としています。

また、新築の家なのか中古物件なのかによっても、瑕疵の対象となる範囲や期間は異なります。

新築住宅の瑕疵担保責任の範囲と期間

住宅会社が新築住宅の販売を行う場合には、民法ではなく品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づいて、瑕疵(かし)に対して引き渡しから10年間の住宅瑕疵担保責任(じゅうたくかしたんぽせきにん)を負います。

また、その範囲は「構造耐力上で重要となる躯体(構造体)」と「雨漏りを防止する上で重要となる箇所」となります。

躯体なら、小屋根・壁・柱・梁・床組・基礎・土台など、雨漏りについては、屋根・開口部・外壁
などです。

また、規定に満たない耐震強度や構造耐力についても、住宅事業者は住宅瑕疵担保責任を負うことになります。

中古住宅の瑕疵担保期間

個人間での住宅売買に関しても売主側に瑕疵担保責任があるものの、その期間は購入から2~3ヶ月とされています。※不動産会社が仲介に入っていたとしても、あくまで売買は個人間の扱いとなります

また、不動産会社など宅建業者が売主となる場合、引き渡しから2年間の瑕疵担保責任を負うことになります。

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)の民法・宅建業法・品確法での定義

瑕疵担保責任は、民法 第570条にて下記のように定められています。

第570条
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。(売主の担保責任と同時履行)

引用元:民法|電子政府の総合窓口(e-Gov)

上記の民法 第570条にでてきた民法 第566条は、下記のように定められています。

第566条
売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

(抵当権等がある場合における売主の担保責任)

引用元:民法|電子政府の総合窓口(e-Gov)

簡単に要約すると、「売った不動産に、気付けなかった欠陥や不備があることが判明したときには、売主はその箇所について責任を持って対処しましょう。期限は欠陥や不備に気付いてから1年以内、絶対厳守ですよ。」ということになります。

 

また、宅地建物取引業法(宅建業法) 第40条では、下記のように定められています。

第40条
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百七十条において準用する同法第五百六十六条第三項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。

2 前項の規定に反する特約は、無効とする。

(手付金等の保全)

引用元:宅地建物取引業法|電子政府の総合窓口(e-Gov)

 

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法) 第40条では、下記のように定められています。

第95条
新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第五百七十条において準用する同法第五百六十六条第一項並びに同法第六百三十四条第一項及び第二項前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項及び第二項前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項中「請負人」とあるのは「売主」とする。

2 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。

3 第一項の場合における民法第五百六十六条第三項の規定の適用については、同項中「前二項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十五条第一項」と、「又は」とあるのは「、瑕疵修補又は」とする。

(一時使用目的の住宅の適用除外)

引用元:住宅の品質確保の促進等に関する法律|電子政府の総合窓口(e-Gov)

 

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