両親、または片親との二世帯住宅を建てようと考えている家庭は多いですが、『完全分離型』なのか『共有型』なのかで間取りは大きく異なります。
『完全分離型』と『共有型』で建てる二世帯住宅にはそれぞれ特徴やメリットがあるものの、この記事を読んで頂いているということは親世代と生活スペースを分けた間取りとなる『完全分離型』で検討しているのでは?
とは言っても、
「完全分離型だと40坪~45坪は狭い?」
「50坪で完全分離型が可能か実際の間取り例が知りたい…」
「完全分離二世帯住宅で平屋ってアリ?」
などなど、完全分離型の二世帯住宅の家づくりについては分からないことだらけですよね。
完全分離型二世帯住宅のメリットを簡単にお伝えすると、それぞれの世帯ごとで独立したライフスタイルが築きやすい点と、玄関や部屋を分けることによってプライバシーを分離することが容易になる点です。
いくら家族と言っても、同じ屋根の下で2つの家族が生活を共にするのは気疲れしてしまいますし、プライバシーに配慮された「完全分離型」の二世帯住宅はおすすめ!
そこで今回は、
- 完全分離型で建てる二世帯住宅の特徴やメリット
- 二世帯住宅を完全分離する際に押さえておきたい間取り決めのポイント
- 二世帯住宅完全分離型のおしゃれな間取り図やプランの実例
など、完全分離型の二世帯住宅を注文住宅で建てる時に役立つ情報をお伝えしていきます。
色んな住宅メーカーの二世帯住宅を見てみたい方は、まずは下記からカタログを取り寄せてみよう!
二世帯住宅で「完全分離型」の特徴とそのメリット
注文住宅で二世帯住宅を建てるのであれば、親世代と子世代で費用を負担し合えるメリットがありますよね。
さらに、超高齢化が進む日本では、二世帯住宅の建築に対して補助金制度を整えていたり、悩ましい相続税の軽減など税制での優遇措置もとられるなど、国として積極的にサポートしてくれています。
また、親世代にとっては孫と接する機会を多く持つことが出来たり、子世代にとっては共働きなど仕事で忙しい時に子育てを親世代に手伝ってもらえるメリットも。
そんな二世帯住宅には、この記事の冒頭でもお伝えしたとおり、
- 完全分離型
- 共有型
の2タイプの形態があるのですが、今回ご紹介する『完全分離型』の間取りで建てる二世帯住宅は外観は1棟の住宅に見えるだけでなく、その名前の通り「玄関」「キッチン」「バスルーム」「トイレ」など全てそれぞれの世帯ごとで設けられた完全に住居が分かれている家となります。
この2つの独立した住居を持つ『完全分離型』の二世帯住宅は、
- 【左右分離型/縦割り型】玄関を別口で設けて壁を隔てる
- 【上下分離型/横割り型】下の階と上の階で住む世帯を分ける
上記2つの方法で検討することができ、生活リズムが異なりやすい『親世代夫婦』と『子世代夫婦』のライフスタイルを、お互いに干渉することなく生活を送ることができます。
左右分離型/縦割り型
左右分離型の二世帯住宅は、外観が1棟の住宅のように見えながらも住居は縦に2つに分断されている『二戸一住宅(にこいちじゅうたく)』となり、イメージとしてはメゾネットを思い浮かべてもらうと分かりやすいかもしれません。
縦割り型二世帯住宅とも呼びますが、内壁を境界として独立した住居スペースを2つ作ることで、親世代と子世代の住まいを分ける方法です。
どちらの世帯でも、平屋はもちろん、上下の動きがある2階建て・3階建ての縦の空間を活かした間取りにすることが出来、多階層にすることでセキュリティ面でも住居としての強みが出てきます。
また、1階に住む世帯が「2階の世帯の生活音が気になって仕方がない!」という状況になることもないため、お互いが平等となる家づくりができる特徴があります。
ただし、親世代の家にも階段が設けられるので、高齢に伴って住みにくい間取りとなってしまうリスクにも考慮する必要があります。
上下分離型/横割り型
上下分離型の二世帯住宅は、先ほどの左右分離型(縦割り型)と同様に1棟の住宅に見える外観となるケースもありますが、一般的には外階段が設けられる場合がほとんどです。
というのも、上下に分離される二世帯住宅は横割り型とも言われ、1階と2階を横向きに割るように世帯を分けているので、2階に住む世帯の玄関が2階部分にあることが多くなるためです。
特に、土地が小さく狭い敷地となりやすい都市部での二世帯住宅に向いていて、室内はマンションのようにワンフロアの間取りで生活するスタイルとなります。
ですが、2階・3階に居住することになりやすい子世帯の方が深夜まで生活音を発生させやすい傾向が高く、1階に住んでいる親世帯に影響を与えてしまう懸念もあり、音や排水などの問題が起こらないように対策を考える工夫は必要になってくるので注意しましょう。
完全分離型の二世帯住宅のメリット
完全に世帯間の住空間を隔てた二世帯住宅には、左右分離型と上下分離型があることが分かりましたが、そもそも完全分離させた二世帯住宅のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
完全分離型の二世帯住宅には、大きな利点として挙げられるポイントが3つあります。
世帯間のプライバシー保護・プライベート空間の確保!
まず1つ目は“プライバシー保護”・”プライベート確保”がしやすい家にすることができる点。親世代と子世代のそれぞれの住空間が完全に分離されるので、世帯ごとの生活リズムのズレや摩擦などによるストレスも和らぎやすくなりますし、お互いのライフスタイルを崩すことなく気を遣う必要もありません。二世帯住宅特有の悩みである「プライバシー」や「プライベート」を共有しなければいけないという悩みも解消されますので、お互いの世帯で程良い距離感が欲しいという家庭にとってはピッタリの形態と言えるでしょう。
光熱費を完全に分けられる&使用量によっては節約も可能!
通常の二世帯住宅の場合、ガスや電気のメーカーが1つなので光熱費の請求がまとめてきますが、完全分離型の住宅にする場合は世帯ごとにメータを設けることで、光熱費の支払いを別々に分けることができます。つまり、光熱費の負担率の取り決めの必要もなく、折半の場合に生じる不公平感を感じることなく気兼ねなく使えるということです。さらに、基本料金は重複して支払う必要があるデメリットはあるものの、使用量によっては光熱費の節約に繋がります。というのも、ガスや電気は使えば使うほど料金単価が上がっていく段階制料金となっているので、二世帯合算では単価が高く請求額も高額となる場合でも、2つのメーターに分けることで料金単価が安くなる使用量に抑えられることも。
将来的に賃貸として活用することも!
住居が完全に分離されていることで、将来的に賃貸住宅として片方の住居を貸し出すことも視野に入れることが可能です。不謹慎ですが親世帯が他界したり、転勤などで引っ越しを要することになったとしても、空いてしまった住居を賃貸として活用できるのは、リスク分散の面で見ても大きなメリットがあります。しっかりと間取りなどの住空間を分離している【完全分離型二世帯住宅】だからこその特徴と言えます。
完全分離型の二世帯住宅の間取り決めのコツ!気を付けるべきポイントは?
ここまでご紹介したように、完全分離型にすることで快適な二世帯住宅を建てることが出来るようになります。
ですが、事前に気を付けて間取り決めや計画プランを立てないと、思わぬトラブルとなって後悔することになるかもしれません。
親世代が要介護になった場合でも、スムーズにサポートできるように段差の少ない間取りを考えたり、完全にお互いをシャットアウトしてしまった全く交流を失うような間取りにしないように気を付けたいところですね。
それでは、完全分離型で建てる二世帯住宅の間取り実例をご紹介する前に、気を付けておきたいポイントについて見ておきましょう。
左右分離型/縦割り型の場合は「敷地の広さ」が必要
左右で分割するタイプの二世帯住宅の場合、2戸の住宅が隣に並んで建つようなイメージです。
となると当然、それぞれの住居にはキッチンやトイレ、バスルームや洗面台など、大きなスペースが必要となる住宅設備を各世帯で揃えた間取りにしなければいけませんよね。
そうなると、各階が狭くなりやすい左右分離型(縦割り型)では部屋や収納などの居住空間に割り当てられるスペースが圧迫されてしまいます。
そのため、快適な生活空間をを確保するためにも、ある程度の土地・敷地の広さは必要になると言えます。
完全分離型に人気の「中庭のある家」も要注意
完全分離型の二世帯住宅だとお互いの気配をあまり感じずにすむ一方で、あまりにも寂しいとの理由やコミュニケーションが取れるようにと、世帯間の行き来がしやすい『中庭を挟んだ二世帯住宅』が人気を集めています。
しかし、この中庭を設けた間取りにも注意が必要で、もし将来的に一部賃貸も検討しているのであれば、中庭があることによって「防犯」「プライバシー」などに懸念が生じます。
二世帯住宅としても賃貸併用住宅としても『中庭のある家』として間取りを考える場合は、ハウスメーカーの設計士さんと入念な打ち合わせが必要になりそうです。
二世帯住宅を得意とするハウスメーカーや工務店などの住宅会社には、完全分離型の基本的な間取りプランが存在しますので、ベースとなる間取りプランを提案してもらった上で微調整をしていくのも、間取りづくりのコツの1つです。
もし先に、ハウスメーカーから間取りアイデアを作成してもらい、それをベースに間取り決めを進めていきたい場合は、下記のWEBサービスを利用すると複数のハウスメーカーから間取りプランを無料で提案してもらえますよ。
完全分離型の二世帯住宅の間取り【左右/縦割り】
完全分離型の二世帯住宅の中でも、お互いの生活音をほとんど気にすることなく過ごせる住まいを実現できる『左右分離型/縦割り型』の間取りについて見てみましょう。
左右で住居を分けるタイプの二世帯住宅を検討しているのであれば、こちらでご紹介する間取り実例を参考に間取りプランを立ててみて下さい。
※ここでは、住居の広さによって間取りの特性が変化するため、35坪・40坪・45坪・50坪・55坪・60坪・70坪・80坪のそれぞれのケースを取り上げています。
完全分離型の二世帯住宅の間取り35坪・40坪【左右/縦割り】
出典元:二世帯住宅 左右分離型 38坪 4LDK | シアーズホーム
1階床面積:71.21㎡(21.54坪)
2階床面積:56.92㎡(17.21坪)
小屋根面積:9.93㎡(3坪)
延べ床面積:128.13㎡(38.75坪)
延べ床面積40坪弱の38.75坪の二世帯住宅の間取り図です。
左右で分割する完全分離型の家となっているのですが、玄関は別にしているもののホール部分で扉を挟んで行き来を可能にした間取りプランです。
何かあった時にすぐにお互いの世帯に行ける連絡通路があることで、利便性を高めている実例と言えそうです。
完全分離型の二世帯住宅の間取り45坪・50坪【左右/縦割り】
出典元:実例紹介:Case.1 【左右分離型】 | 東急ホームズの二世帯住宅
1階床面積:77.84㎡ (23.54坪)
2階床面積:77.84㎡ (23.54坪)
延べ床面積:155.68㎡ (47.09坪)
延べ床面積が45坪~50坪となる縦割り型二世帯住宅の間取り図です。
左右分離型のため、1階にリビングで上階に寝室や洋室がある間取りとなる、どちらも2階建て住居となる設計となっています。
注目すべきは、完全分離型にもかかわらず玄関とホールが共有となっていて、親・子・孫の3世代が顔を合わせられるため、寂しさを感じない家を実現しています。
将来的には、玄関をそれぞれに設けることも視野に入れた間取りとなっていて、片方の住居を賃貸にすることも出来ます。
完全分離型の二世帯住宅の間取り55坪・60坪【左右/縦割り】
出典元:実例紹介:Case.1 【左右分離型】 | 東急ホームズの二世帯住宅
>1階床面積:90.55㎡(27.39坪)
2階床面積:90.55㎡(27.39坪)
延べ床面積:181.10㎡(54.78坪)
延べ床面積が約55坪となる左右分離型の二世帯住宅の間取り図です。
55坪~60坪の広さの二世帯住宅となると、それぞれの世帯で30坪近い延べ床面積を確保できるため、少し小さめながらも一般的な大きさの住まいを手に入れることが可能になります。
また、間取りに無駄を一切失くすことで効率よくスペースを確保することができ、お互いに3LDKの家を実現させています。
このような造りの間取りなら、将来に賃貸にする際も簡単な工事のみでOKですね。
完全分離型の二世帯住宅の間取り70坪・80坪【左右/縦割り】
出典元:左右分離型の二世帯住宅 | 建築実例 | セキスイハイム
1階床面積:143.19㎡(43.31坪)
2階床面積:97.48㎡(29.48坪)
延べ床面積:240.67㎡(72.8坪)
延べ床面積が70坪オーバーとなる大きな家の二世帯住宅の間取り図です。
2つの玄関を別方向に設けたケースの間取りとなっていて、お互いのプライバシーに配慮されています。
また、連絡通路として室内ドアで行き来ができるようにされているので、ほどよい距離感で二世帯生活を送ることができる家の実例となっています。
ハウスメーカーの設計のプロがあなた専用の間取りプランを一から作成してくれます!
完全分離型の二世帯住宅の間取り【上下/横割り】
完全分離型の二世帯住宅の中でも、上下階でそれぞれの世帯に分ける『上下分離型/横割型』の間取り。
上下で世帯を分ける二世帯住宅の場合、階段の上り下りが大変なため1階に親世帯の住居とすることが一般的となります。
ここで気を付けたいことは、将来的に賃貸にすることも視野に入れるのであれば、外階段などで玄関を完全に離してしまうのがおすすめです。
また、親世帯が1階で住むのであれば、高齢化した際にも生活がしやすいようにバリアフリーを考慮した間取りも考えていきましょう。
※ここでは、住居の広さによって間取りの特性が変化するため、30坪・35坪・40坪・45坪・50坪・55坪・60坪・70坪のそれぞれのケースを取り上げています。
完全分離型の二世帯住宅の間取り30坪・35坪【上下/横割り】
出典元:2階建て上下完全分離型二世帯住宅|狭小住宅・二世帯住宅・注文住宅の間取りは中鉢建設
1階床面積:48.92㎡(14.79坪)
2階床面積:49.65㎡(15.01坪)
ロフト面積:16.56㎡(5坪)
延べ床面積:98.48㎡(29.79坪)
延べ床面積が約30坪となる上下分離型の二世帯住宅の間取り図です。
やはり狭小土地に二世帯住宅を建てる場合、左右分離型では階段を世帯分設けないといけなくなるため、どうしてもある程度の大きさが必要ですが、横割りとなる上下分離型の住宅であれば30坪~30坪以下の家も視野に入れやすくなります。
完全分離型の二世帯住宅の間取り40坪・45坪【上下/横割り】
1階床面積:70.76㎡(21.4坪)
2階床面積:73.31㎡(22.17坪)
延べ床面積:144.07㎡(43.58坪)
延べ床面積が40坪~45坪の横割り型の二世帯住宅の間取り図です。
玄関は親世帯も子世帯も1階に設けられており、子世帯の家は玄関を入るとすぐに2階に上がる間取りになっています。
子世帯夫婦の寝室を親世帯の寝室の真上に持ってくるような間取りにすることで、子世帯の生活音が階下に影響を与えにくくなるような配慮がされていることが分かりますね。
完全分離型の二世帯住宅の間取り50坪・55坪【上下/横割り】
出典元:二世帯住宅 独立タイプ|パナソニック ホームズ – Panasonic(パナホーム)
1階床面積:95.80㎡(28.97坪)
2階床面積:96.61㎡(29.22坪)
延べ床面積:192.41㎡(58.19坪)
延べ床面積が50坪~55坪ほどの上下に分けた横割り二世帯住宅の間取り図です。
玄関を完全に2つに分けられていますが、注目したいポイントは玄関を入った土間部分を連絡通路として、お互いの世帯を気軽に行き来できるようにしています。
将来、賃貸にする場合でも土間部分に壁を付けるだけなので、費用や手間もほとんどかかりません。
完全分離型の二世帯住宅の間取り60坪・70坪【上下/横割り】
1階床面積:67.90㎡(20.53坪)
2階床面積:72.04㎡(21.79坪)
3階床面積:58.79㎡(17.78坪)
延べ床面積:198.73㎡(60.11坪)
延べ床面積が60坪~70坪の横割り型二世帯住宅の間取り図です。
親世帯は1階部分での居住を予定した間取りとなっていて、子世帯は2階・3階を居住にする間取りです。
子世帯の玄関は、外階段を設けて完全に2階から入室するようにしているのですが、ここで気になるのは親世帯の寝室の真上が子世帯の玄関ということです。
子世帯の家の出入りの時間帯によっては、親世帯の睡眠の妨げになることも予想できるので、こういった部分にも気をつけて間取り設計をメーカーにお願いするようにしましょう。
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まとめ
二世帯住宅の中でも、それぞれの世帯で独立した住空間を叶えることができる『完全分離型』で建てる家。
親世帯と子世帯の間で、お互いの生活音やライフスタイル、さらにはプライバシーなどに配慮しながら快適に住めるので、二世帯住宅で注文住宅を建てるのであれば魅力的な候補となるでしょう。
ですが、1世帯だけではなく2世帯の家を建てることになるので、間取りへの要望も多岐に渡ります。
そのため、どのような間取りプランにするのか、プロの設計士さんとしっかりとプランを詰めて考えていくことが大事です。
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